建設業許可 請負代金500万円は消費税込みなのか?
建設業の許可をまだ取得していない事業者様の中で、ここのところの材料費や人件費の高騰により、今までは500万円未満だった工事が、500万円以上となってしまうので、発注者にお断りをしなければならないといった切実なお悩みを持ってらっしゃる方が多くなっているのではないでしょうか。私の事務所にもそうした理由により、建設業許可を取りたいといったお客様からの相談もあるのも事実です。
今回は、建設業許可の基準となる「請負代金500万円」に関することを、再確認してみましょう。
消費税について
建設業許可がいらない請負代金「500万円未満」の工事ですが、この金額は消費税を含めた額となります。ですから、間違って税抜きで500万円未満とした場合には、仮に460万円の工事でも税込みの金額では、460万円×1.1(消費税率10%の場合)=506万円となり、500万円以上となるので、「建設業法違反」になってしまいます。念のためですが、基準は「消費税込みで500万円以上」なので、ぴったり500万円の場合は、建設業許可が必要な工事となります。
そして、この消費税込みの根拠は、「建設業許可事務ガイドライン(令和4年12月28日国不建第463号)」の中にあります。以下がその内容となりますので、ご参考になさってください。
法等における「請負代金の額」等の内容について
消費税及び地方消費税は消費一般に負担を求める間接税であり、取引の各段階において適正に転嫁される必要があることにかんがみ、法、令及び規則の規定中、「請負代金の額」その他の個々の取引に係る請負代金に係る用語は、当該取引に係る消費税及び地方消費税の額を含むものとする。
最近、消費税については、「法律の条文からすると、間接税ではなく事業者が納める直接税だ」という話もでていて、そういう意味からすると気になる表現がある内容ですが、請負代金に消費税等を含める根拠はこれです。
軽微な建設工事の注意点
「軽微な建設工事」については、建設業許可が不要ですが、その定義について国土交通省では以下のとおりとしています。
【1】建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
「木造」・・・建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるもの
「住宅」・・・住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で、延べ面積が2分の1以上を居住の用に供するもの
【2】建築一式工事以外の建設工事については、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事
※上記金額には取引に係る消費税及び地方消費税の額を含みます。
なお、上記の請負代金については、以下の注意点が必要です。
それは、注文者が材料を提供する場合は、その材料費も請負代金に含めることです。
そしてもう一つは、請け負った工事を正当な理由もなく、分割して契約した場合にはその合計金額で判断するということです。例えば、一般の工事で、合計600万円(税込み)の工事を、300万円(税込み)工事2回に分割したとしても、正当な理由がない場合には、600万円(税込み)の工事と判断され、建設業許可がない場合には、建設業違反となってしまいます。
これらの根拠も先ほどの「建設業許可事務ガイドライン(令和4年12月28日国不建第463号)」の中にあります。以下がその内容となりますので、ご参考になさってください。
「軽微な建設工事」に該当するか否かを判断するに当たっては、同一の建設業を営む者が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負うときは、正当な理由に基づいて契約を分割したときを除き、各契約の請負代金の額の合計額により判断し、また、注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送費を当該請負契約の請負代金の額に加えた額により、判断することとする。
なお、建設業に係るご質問については、「行政書士たかした事務所」まで、お気軽にお問い合わせください。