インボイス制度③
前回は【益税問題】の話しで、消費者から預かった消費税分を、免税事業者は消費税の納税を免れることによって、余計に儲けているということでした。
これについて、わたしはまったく知らなかったのですが、消費税が導入された当初、「免税事業者などにより、税金をピンハネしている事業者がいる。自分の払った消費税が国に納税されていない。これは恣意的な徴税を禁止した憲法84条違反、そして憲法29条の国民の財産権を侵害するもので、欠陥税制であり違法だ。」と裁判を起こした方がいたのですね。
そして、判決は「消費者は、消費税の実質的負担者ではあるが、消費税の納税義務者であるとは到底いえない」「(消費税の)徴収義務者が事業者であるとは解されない。したがって、消費者が事業者に対して支払う消費税分はあくまで商品や役務の提供に対する対価の一部としての性格しか有しないから、事業者が、当該消費税分につき過不足なく国庫に納付する義務を、消費者との関係で負うものではない」というものでした。
つまり、「消費税は預り金ではなく、消費者が支払う消費税分は商品やサービスの対価の一部」なのです。これを知った時には、私は目からウロコものでした。
では、消費税の本当の納税義務者は誰なのでしょうか?
それは、【消費税法】第5条に明確に示されていて「事業者(個人事業者及び法人)は、・・・消費税を納める義務がある。」となっています。
以上のことを整理して考えてみると、【益税問題】で言われているところの、免税事業者は消費税分を余計に儲けているとは単純に言えないというのが、わかってきます。
次回は、【インボイス制度】を語る中で、重要なポイントになります、「事業者の価格設定と消費税の関係」を見ていきたいと思います。