インボイス制度⑤
本題に入る前に、昨日11月13日(日)に、行政書士試験が行われました。私は昨年の受験組で、それまで2時間の国家資格の試験はいくつか受けたことがあったのですが、3時間の試験は始めてだったのと、記述式問題があったことから、試験が終わった後は疲れがどっと出たのを覚えています。また、そこから、合格発表日の2か月ちょっとの間は、記述式問題の得点が発表までわからないため、非常にやきもきした記憶が蘇りました。いずれにしても、受験生の皆様、大変お疲れさまでした。
前回のおさらいをすると、価格決定権のある事業主が、消費税増税分を考慮して、価格を引き上げるかどうかを判断するわけですが、規模の小さな企業や個人事業主は、発注先との力関係で、価格転嫁をしにくい状況にあるというお話しをしました。
そうした状況の中で、2023年10月からのインボイス制度が始まると、どうなるでしょう?ここでは、価格転嫁ができていない課税売上高が年間1,000万円以下の免税事業者の例で見ていきましょう。
①この事業者が、このまま免税事業者を選択した場合
⇒発注先が免税事業者の納税分を負担することになります。そうすると、発注先は、この免税事業者と取引をやめ、課税事業者と新たに取引をするようになるか、または、発注先が負担する分を免税事業者に値引きを要求するようになると予測されます。
②この事業者が、課税事業者を選択(適格請求書発行事業者として登録)
⇒その場合には、消費税納税分を価格に転嫁できない個人事業者は、新たなコストとなり利益を押し下げます。
いずれの場合も、【インボイス】制度は、立場の弱い事業者にとって大きな影響を受ける制度ですが、その内容を正しく理解している事業者は少ないと思われますし、国民の大半は影響がなく、「今まで【益税】で儲けていたのだから当然だ」と主張する人が多いのが現状です。私も、【インボイス】制度により、大きな影響を受ける一人として、なんとか制度の延期や改善、できれば廃止ということを望んでいますし、何か自分でできることはないかと模索している今日この頃です。