インボイス制度④
前回は「消費税は預り金ではなく、消費者が支払う消費税分は商品やサービスの対価の一部」ということと、消費税の納税義務者は「事業者(個人事業者及び法人)」とであるということをお話ししました。
今回は、【インボイス制度】を語る中で、重要なポイントになります、「事業者の価格設定と消費税の関係」を見ていきたいと思います。
事業者は商品やサービスの「価格決定権」があります。そのときに、消費税が例えば、8%から10%に引き上がったとすると、消費税の納税義務者である事業者は、通常は、その引き上がった2%分を考慮した価格設定をするはずです。なぜなら、価格を引き上げないと、事業者が消費税増税分を負担することになり、利益を押し下げるからです。
通常の場合と前置きしたのは、「価格決定権」は事業者にありとお話ししましたが、そこにはいろいろな要素が複雑に絡み合っていて、単純ではないということです。例えば、どうしても儲けを大きくしたい業者は、消費税増税分より価格を高くしたいと思うでしょう。あるいは、競合が激化しているとか、デフレで消費が低迷している、あるいは取引先と力関係で、価格を引き上げらず儲けを削るしかないといったこともあります。
特に、消費税分を価格転嫁できないのは、規模の小さな企業や個人事業主といった、立場の弱いものがその多くを占めているのです。
では、そうしたことをふまえ、【インボイス制度】はどのような影響を与えるのでしょう。いよいよ核心に迫りたいと思います。